半年で5万6千人の患者、コロナの6.5倍超
コロナウィルスのパンデミックの陰で、マレーシアではデング熱の感染者も増加している。
CPRCのデングオペレーションセンターの最新情報によると、2019年12月29日~2020年7月5日の約半年間でマレーシアでのデング熱の感染者数は56,651人。
マレーシアのコロナウイルスの合計患数は8,668人(7月6日時点)なので、デング熱の感染者数はコロナウイルスの6.5倍以上となっている。
(ただしデング熱の死亡率は非常に低く、WHOも死亡することは滅多にないと発表している)
中でもセランゴール州の感染者数が多く、31,058人でマレーシア全体の5割以上となっている。
州ごとの患者数
*感染者数は2019年12月29日〜2020年7月6日の合計
州 | 感染者数 |
セランゴール | 31,058 |
ジョホール | 5,461 |
クアラルンプール | 6,030 |
サバ | 2,638 |
クランタン | 2,098 |
ペラ | 2,034 |
パハン | 1,552 |
ヌグリ・スンビラン | 1,585 |
サラワク | 1,138 |
マラッカ | 1,327 |
ケダ | 523 |
ペナン | 528 |
プトラジャヤ | 400 |
トレンガヌ | 230 |
プルリス | 44 |
ラブアン | 5 |
合計 | 56,651 |
ソース:iDensue
デング熱の流行時期
WHOのデータでは、世界129ヵ国でデング熱に感染するリスクがあるが、全体の70%がアジアでの発症となっている。
マレーシアではデング熱の感染者数が過去2年間増加しており、
2018年には80,615件(147人の死亡)
2019年は130,101件(182人の死亡)となっている。
通常、デング熱の患者数は5月から増加し、モンスーンの季節が過ぎた7,8月に急増する。
今年に関しては、マレーシアは活動制限(MCO)で、ほぼ全ての施設が閉鎖された。
清掃等のメンテナンスがされないため、雨水が溜まったり、トイレの水が入れ替わらなく、そういった場所が蚊の繁殖場所となり、デング熱が急増する可能性がある。
デング熱の感染経路
デング熱はウィルスを持つ蚊に刺されることにより感染する。
ネッタイシマカとヒトスジシマカが主な媒介蚊で、感染した人を蚊が刺すと、蚊の体内でウィルスを増殖する。
その蚊に人が刺される事で、デング熱が感染する。
一度ウィルスを持った蚊は、死ぬまでウィルスを伝播する。
デング熱の症状
- 高熱(40℃前後)
- 激しい腹痛
- 目の奥の痛み
- 筋肉痛
- 関節痛
- 嘔吐
- 悪心
- リンパ節の腫脹
- 発疹
潜伏期間は4〜10日間で、症状は通常2〜7日間続く。
症状が出た場合は、すぐにクリニックや病院へ
2020年6月6日にマレーシア保健省は「デング熱による84人の死亡例を調査したところ、11%の感染者が治療が遅れていたことが判明した」と発表。
デング熱の発症により、出血やショック症状が出ることで死に至ることもある。
しかし、適切な処置を行えば、死亡率は1%以下になる。
高熱や関節痛、出血などの症状がみられる場合には、すぐに医療機関で受診を行うことが重要となる。
デング熱に似たチクングニア熱
マレーシアでは、デング熱だけではなく、デング熱に似た「チクングニア熱」も流行している。
チクングニア熱もデング熱と同様、ネッタイシマカとヒトスジシマカが主な媒介蚊で、うウィルスを持った蚊に刺されることで発症する。
また、症状もデング熱と似ていおり、高熱や関節痛などが主な症状となる。
下記がデング熱とチクングニア熱の症状の違い。
デング熱 | チクングニヤ熱 | |
40℃前後の高熱 | 徐々に | 突然 |
症状が続く期間 | 2-7日 | 1-5日 |
発疹 | まれに出る | しばしば出る |
関節痛 | しばしばみられる 長期間になることも | 少ない。短期間 |
デング熱・チクングニヤ熱の予防方法
デング熱とチクングニヤ熱の予防方法は、とにかく蚊に刺されないこと。
- 水が溜まる場所の排除
- 虫除けスプレーの使用
- 忌避剤(蚊取り線香など)の使用
- 水が溜まる場所の排除
- 長袖長ズボンの着用
デング熱の予防として、最も重要な事が水の溜まる場所の排除。
雨水などが溜まっている場所は、蚊の繁殖場所となり、蚊が増える原因となる。
マレーシアでは日本人の住居はコンドミニアムが多く、家庭でできる事が限られてしまうが、
家庭でできることとしては、住居などの排水溝等の水の溜まりやすいところの点検、貯水容器には蓋をして定期的に清掃をする事が重要。
共用部分に関しては、水が溜まっている場所をマネジメントに報告するなども有効だ。
これから蚊が増える時期は、外出時に虫除けスプレーや忌避剤(蚊取り線香など)の使用も行いたい。
虫除けスプレーなどは、雨や汗などで落ちやすいため、野外で長時間活動する際は持ち歩き、必要に応じて再塗布することが重要。
蚊取り線香や虫除けは、スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアで購入可能。
ただし、日本と同じものは売っていないため、肌が敏感な方や、使い慣れた安心の物を使いたい場合は日本からまとめて持ってくるのがおすすめ。
特にマレーシアの虫除けスプレーや虫除けクリームは匂いが強いものも多いので注意。
*虫除けスプレーは、他の液体やスプレーと合わせて、一人あたり2Lまで持ち込み・預け入れ可能(殺虫剤は不可)。