2017年2月13日、クアラルンプール国際空港で衝撃的な事件が起こった。
朝鮮労働党の最高指導者兼会長である、金正恩の兄のキムジョンナムは、マカオに向かうためクアラルンプール国際空港にいた。
キム・ジョンナム(金正男)氏は、空港で突然見知らぬ女性に顔に何かを塗られる。
事件後に苦しさを感じた金正男氏は、警備員に状況を説明。
しかし、事件の約1時間半後、残念ながら息を引き取ってしまう。
現在でも事件については多くが疑問のままだ。
空港で金正男氏に接触したのは、2人のアジア人女性。
インドネシア人のシティ・アイシャ氏と、ベトナム人のドアン・ティ・フオン氏(以下フオン)だ。
今回、JAPAN Forwardが実行役の1人であるベトナム人のフオンにインタビューを行った。その映像が2019年12月31日にYouTubeにアップロードされている。
フオンは事件を語るのは、最初で最後だと語っている。
インタビューによると、2017年1月にフオンはベトナム・ハノイのバーにて、友人から韓国メディアで働いているとされる男性Y氏を紹介される。
フオンは当時、女優や歌手になることを目指していた。韓国メディア関係者のYを紹介されたことでメディアに出れるチャンスになると興奮していた。
その後、Yはフオンにプレゼントを買ったり、水族館やカフェ、カラオケに連れて行ったりもし、恋人のように振る舞った。
Yはフオンを海外にも連れて行き、ベトナムだけでなく、マレーシア、カンボジアなどで、映像の撮影を行った。
ある日、Yはフオンに、知らない人にキスをするというドッキリの撮影をしようと持ちかけた。
これまでドッキリ映像を撮った事のなかったフオンは、他人の人にキスをすることが出来ず、撮影は失敗。
それに対し、Yはドッキリの内容を変えようと提案。
この提案が、例の事件へと繋がることとなる。
フオンはハノイ国際空港で、手にクリームを塗り、俳優とされる男性の顔に塗りつけた。
この撮影は、金正男氏殺害の11日前だ。
事件9日前にはマレーシアに渡航。
事件の2日前に、フオンはクアラルンプール国際空港第二ターミナルの出発ゲートに呼ばれた。
フオンは、この日が殺害の予行練習である事を後に知ることとなる。
2017年2月13日、フオンは朝6時にクアラルンプール国際空港に呼ばれる。
ドッキリ映像を撮影して、YouTubeにアップロードする、と伝えられた。
フオンは指示の通り、手に塗った液体を、男性の目と鼻に擦り付けた。
被害を受けた男性は苦しさを感じ、警備員に状況を説明。しかし、事件の約1時間半後に息を引き取ってしまう。男性は金正男氏だ。
全てはこの瞬間のために準備されていた。
フオンは、事件当時の状況について「何が起こっているのか知らなかった。ドッキリの撮影が、その後の事件につながるとは思っていなかった。」と語っている。
インタビューに応じた、元北朝鮮工作員グループの幹部は、フオンのような女性を「一度限り」と呼んでいるとのこと。
北朝鮮工作員による犯行と知られないために、フオンは利用された。
北朝鮮は、金正男氏の殺害事件について関与を全面否定。
また、事件に関わったとされる工作員たちの行方はわかっておらず、事件の真相は闇の中だ。