マレーシア・シンガポール間の高速鉄道計画がキャンセル 理由と計画歴史

クアラルンプール

マレーシア・シンガポール間の高速鉄道計画がキャンセル

1月1日に両国首相が計画中止を発表

2020年1月1日、マレーシアのムヒディン・ヤシン首相と、シンガポールのリーシェンロン首相は共同声明にて、2026年に開業予定だったマレーシア クアラルンプール・シンガポール間を結ぶ高速鉄道(HSR)のプロジェクトを撤回することを発表した。

高速鉄道は、マレーシアのクアラルンプールとシンガポールのジュロンイースト間を結ぶ全長350kmで、約90分で両国間を移動することが可能となる計画だった。

高速鉄道が産む経済効果として、マレーシアとシンガポールにRM210億の経済効果、また2060年までに111,000人の雇用を創出すると予想されていた。

これまでにマレーシア側の財政状況の悪化から、何度か計画の延期が行われ、実現に向けて両国が協議を重ねていた。
しかし、2020年12月31日の期限を迎えても両国は合意に達しなかったことから、高速鉄道の計画そのものを撤回すると発表を行った。

計画の歴史と詳細

ナジブ政権下で合意

この高速鉄道プロジェクトは、2013年2月にマレーシアのナジブ・ラザク首相(当時)と、シンガポールのリーシェンロン首相によって計画の発表がされた。

2016年7月に両国の首相が覚書に署名。
2016年の末には、法的拘束力のある二国間協定が締結。高速鉄道の実現に向けて計画が正式にスタートした。
両国間の合意に基づき、高速鉄道の開業は2026年3月31日までに行われると予定された。

2017年には、高速鉄道の全長と駅が設置される場所が発表された。
KL側から、クアラルンプール、セパン プトラジャヤ、セレンバン、マラッカ、ムアル、バトゥパハット、イスカンダル プテリ、シンガポール(ジュロンイースト)に8つの駅を設置、全長350kmと予定。

マハティール政権で風向きが変わる

2018年5月、マレーシアでは政権交代が起こりマハティール氏が首相に返り咲く。
マハティール首相(当時)は「高速鉄道プロジェクトはマレーシアにとって有益ではない」との意見を発表。
同年7月には、マハティール首相(当時)は国の財政状況から高速鉄道プロジェクトを推進するのは難しいといった発言も行った。

2018年9月、マレーシアとシンガポールは、高速鉄道の建設を2020年5月末まで延期することに正式に合意。
高速鉄道の開業予定は2031年1月1日に延期された。
また、プロジェクトの一時中断に伴い、マレーシアには約1500万シンガポールドルを支払い義務が生じた。
両国は「中断の期間中に、コスト削減を目的とした、プロジェクトを推進する最善の方法について引き続き協議を行う」と発表している。

ムヒディン政権になり計画も再開かと思われたが

2020年2月下旬にマハティール元首相が辞任、3月1日にムヒディンヤシン新首相が誕生。
また、3月上旬にマレーシアでもコロナウィルスのパンデミックが発生。

2020年5月、マレーシア・シンガポール両国は、高速鉄道プロジェクトを年末まで延期すると合意。

2020年7月30日には、両国首相が両国を結ぶ橋の中間地点で会合。プロジェクトの再開が期待されていた。

2020年12月2日に両国の首相がビデオ会議を実施。
高速鉄道プロジェクトに関して、両国のそれぞれの立場をよく理解し、プロジェクトの詳細はやがて発表されるだろうとの声明が発表された。

その後、マレーシアのメディアは高速鉄道の計画についてシンガポールの関与なしに継続し、高速鉄道はクアラルンプール・ジョホール間となる可能性があると報じた。

2021年1月1日、両国の首相は2020年12月31日が期限だった高速鉄道の協定が失効し、プロジェクトを中止すると発表した。

マレーシア政府は、コロナウイルスの影響により、財政悪化が加速したことも計画中止となった理由の一部だと発表。
シンガポール政府は、両国の合意に基づいてプロジェクトで生じた費用の一部をマレーシアに補償してもらう必要があると主張。マレーシア政府も同意する意向を示している。

また、シンガポール首相は「プロジェクトの中止は両国の関係に悪影響を及ぼさない。マレーシアとの深く多面的な関係は継続し、今後も両国の公益のために緊密に協力していく」との声明を出している。

 

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